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「厠の怪 便所怪談競作集」 [Book - Horror/SF/Mystery]

 厠(便所)をテーマとした創作怪談のアンソロジー

◎「厠の怪 便所怪談競作集」 編)東雅夫(MF文庫ダヴィンチ刊)

◆内容紹介(裏表紙より)
一冊まるごと「便所怪談」!
誰もが利用する身近な空間であるとともに、古代の神話から現代の都市伝説に至るまで怪談奇談とことのほか縁の深い、恐怖のふるさと・便所。そこは日常生活で唯一、人が孤絶を余儀なくされ、また無人であることが常態とされる場所でもある……。
懐かしくも恐ろしい厠=便所をテーマとする書き下ろし小説8篇にエッセイ2篇を加えた、妖しくもニオイたつ、空前絶後の便所怪談競作集。

 「便所の神様」  京極夏彦
 「きちがい便所」  平山夢明
 「盆の厠」  福澤徹三
 「糜爛性の楽園」  飴村行
 「トイレ文化博物館のさんざめく怪異」  黒史郎
 「あーぶくたった ─わらべうた考」  長島槇子
 「隠処(こもりく)」  水沫流人
 「縁切り厠」  岡部えつ
 「学校の便所の怪談」  松谷みよ子
 「厠の乙女 ─便所怪談の系譜」  東雅夫

 このうち長島、水沫、岡部の三氏の作品は『幽』11号('09年7月刊)に掲載されたもので後は書き下ろし。巻末の2編がエッセイとなる。

 タイトルが「厠の怪」だけに、全作品ともに旧式の汲み取り便所なり、それよりも古い―いわゆる厠が舞台となっている。おしなべて子供の視点(あるいは子供時代の回想として)から書かれた作品なのはやはり古い時代の便所が舞台であり、子供というもの……特に汲み取り式の便所を知っている世代の子供というのは誰しも、便所に何かしらの怖さや嫌悪感の混じった思いがあるからだろう(かくいう自分も、小学4年まで暮らした家の便所は汲み取り式だった)。

 1人くらいは現在の水洗トイレを舞台に書いて欲しかった気もするが、それでは“厠”の怪談とはベクトルが異なるものとなってしまう以上、致し方なかったか。
 厠→便所とトイレへの怪異譚の変遷については、編者による巻末のエッセイで言及されている。

 ノスタルジックな昭和の香り(腐臭をはじめとした様々な臭気も当然混じっている)が漂う京極夏彦、福澤徹三の2編、やはりこの作者の書いたものだなという壊れ方の平山作品もいいが、便所ネタというよりは陰惨なカニバリスムものの長島槇子「あーぶくたった―わらべうた考」が強く印象に残る。
 黒史郎「トイレ文化博物館のさんざめく怪異」は、相変わらずこの作家の引き出しの多さを感じさせられた。

 しかし飴村行は……うーん、やはり受け付けないわこの作家w
 個人的にエログロは嫌いじゃないはずなんだが。

 それとは別に、松谷みよ子が(昨日感想を書いた)R・マシスンと同じ1926年生まれということを知って、ちょっと驚いた。

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