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「怪談実話系/妖 書き下ろし怪談文芸競作集」 [Book - Horror/SF/Mystery]

 人気の書き下ろし怪談文芸競作集シリーズ、第8弾。

「怪談実話系/妖 書き下ろし怪談文藝競作集」編)「幽」編集部(MF文庫ダ・ヴィンチ)

◆内容紹介(裏表紙から)

装いも新たな<怪談実話系>シリーズ第8弾は、いま注目の女性作家たちによる妖しき競作集。軽やかに、無邪気に、残酷に女の心の闇を凝縮した十の物語。虚実のあわひに花開く不思議な世界へ、ようこそ。

したたる、女たちの怖い話

東直子「サトシおらんか」/藤野可織「ビーチサンダル」/小松エメル「或る町の話」/田辺青蛙「文学に纏わる怖い話」/伊藤三巳華「よく聞く白いワンピースの女」/立原透耶「ひとり百物語 絡みつく」/宇佐美まこと「城山界隈奇譚」/長島槇子「白蛾―異種恋情」/工藤美代子「会いたかったわ貞子さん」/岩井志麻子「もはや愛しい、あの女」
―4名の新規参戦作家を一挙に迎えた大好評シリーズ第8弾! 

 これまでタイトルに付けていた通し番号を改め、今回からは各巻に相応しい漢字一文字をタイトルにつけることとした、そうな。今回は女性作家だけの巻ということで“妖”という一字にしたとか。
 女性作家だけによる1冊となると、ちょうど2年前に読んだ第5弾がそうだったが、そちらは怪談誌『幽』主催の「女たちの怪談百物語」という企画に付随して、禁断の百話目を参加者それぞれが語ったとしたら……という10篇を集めたもの。今回はそういうことは関係なしに……と思ったら、女性向けの新たな怪談誌『Mei(冥)』創刊と絡んでいた模様。巻末では「幽」編集長の東雅夫氏と、「Mei(冥)」編集長かつ今巻の編集を仕切ったと思しき岸本亜紀女史との「Mei(冥)創刊記念」対談が収録されているし。
 なるほどねぇ。

 例の如く簡略な感想など。

  • サトシおらんか(東直子)
    家族で父の田舎に帰省した小学生の「私」が紛れ込んだ古い家。そこで見知らぬ老婆が語って聞かせた、世にも"淫"惨でおぞましい話。
    例え祖父母が住んでいても、都会育ちの子供にとって田舎というものは時として異界なんだろうか。
  • ビーチサンダル(藤野可織)
    外怪談を駆け下りていくビーチサンダルの足音が響くマンション。「この物件は実在する」というのは著者の創作なのか本当の話なのか……が、これに類するような賃貸物件は、全国各地に確実に存在し、そこで入居している人もいるのだろう。
  • 或る町の話(小松エメル)
    長くても2ぺーじ弱の「奇妙な味」の掌編によるオムニバス、と思いきや、読み進めるうちにそれらのつながりが見え始め、全体像がおぼろげに浮かび上がる構成。怪異そのものより、そこに垣間見える人間の歪さを描き出すのが、この作家の特色かと思う。
  • 文学に纏わる怖い話(田辺青蛙)
    文学というよりは"文学賞の選考"に纏わる怖い話、というのが正確か。作品に思いを込めるのはどの作家とて同じだろうが、それが時として狂気じみたものとなるのも、さもありなん。それを読まされる選考担当や編集者は災難だろうけれど。
  • よく聞く白いワンピースの女(伊藤三巳華)
    マンガ。第5,7弾に続いての登場。夜道で遭遇する若い女性の幽霊は、なぜ白いワンピースを着ていることが多いのか―という疑問に対して、作家自身の体験から1つの答えを提示している。
  • ひとり百物語 絡みつく(立原透耶)
    同レーベルで「ひとり百物語」シリーズを刊行しており、これはその新作なのかも。中国に造詣の深い著者なので、そちら絡みの話が続くが、最後の『絡みつく』は……今巻の全作品の中で最も鳥肌が立った話。
  • 城山界隈奇譚(宇佐美まこと)
    女子高生の"私"が交流を持った、図書館司書の若い女性……もしかすると彼女は、自分の正体を"私"にさりげなく告げていたのかもしれない
  • 白蛾―異種恋情(長島槇子)
    異種交歓の話は幻想譚を中心として昔からあるが、こちらは恋情止まり、か。確かに、白い山百合の花は時として女性を思わせる気配がある―ような気もする。
  • 会いたかったわ貞子さん(工藤美代子)
    ノンフィクションの取材相手の祖母の体験談。ちなみにタイトルの"貞子さん"は、かの有名な「貞子」とは別人w
  • もはや愛しい、あの女(岩井志麻子)
    昨年芸能ニュースを飾ったオ※ロのN島の洗脳?騒動も手伝い、「あの女特需」で『笑っていいとも!』でコーナーまで持ってしまった著者。ここまで来ると"あの女"の異常さよりも、ここまで"あの女"をネタにして書き続ける著者の、作家としての業の深さのがよほど真っ黒いんじゃないのか。
    しかし、いつまで続けるつもりかねこのネタ。

 このシリーズは巻末に「『幽』文庫通信」として関連作家のエッセイ、読者の投稿怪談が掲載されているのだが、投稿怪談の一篇、深田亨氏の「花見幕」が印象的。桜テーマの怪談とも読めて、背筋に冷たいものが走る。

 自分は雑誌「幽」、況してや「Mei(冥)」までは手を出さなくてもいいかな、と。

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